1校舎で800名を超える小中学生の生徒をお預かりしていました元塾講師です。
私自身、国立大学大学院にて教育関係の研究を行っていました。修了後、塾の講師として10年近く勤務し2,000人以上の生徒と接してきました。
今回は「提出ノートの特徴」
子どもたちはそれぞれの特徴があるのですが、その中でも「提出ノート」に着目してお話ししていきます。
すべての人に適した勉強方法はありません。この記事の方法が適している子もいれば、他の方が書かれている方法が適している子もいると思います。今回の内容をご覧いただき、一人でも多くの方の参考になればと思っております。
間違えた原因を残すことが大切
結論から言うと、成績が伸びる生徒は「提出ノート」が良い意味で整っていないケースが多かったように思います。
整っていないと言うと語弊がありますが、カラフルで誰が見ても「キレイ」と思うノートでなかったのは確かです。
メモや調べた内容、計算式などその問題を解いた過程が残されていて、授業の内容についても先生が口頭で話した内容もメモがされていました。
また使用されている色も「黒」と「赤」と「青」の三色が多く、決して色合いとしても見栄えのするものではありませんでした。
その中でも今回はのちに東京大学や京都大学、国立大学医学部に進学した生徒のノートの特徴を下に記載します。
計算の途中式や問題を解いている最中に調べた内容がノートに必ず記入されている。
Point2
最終的な答えの上には必ず✓が書いてあり、答えの記入間違いのチェックがされている。
Point3
ノートの右側1/3程度のところに縦線が引かれてあり、縦線の右側に重要な内容がメモされている。
Point4
解いた日と使用した問題集とそのページ数が記入されている。
Point1にあるように、途中式や調べた内容は必ずメモされていました。少し特異な例かもしれませんが、調べる際に使用した参考文献の名前を書いている生徒もいました。
そのことについて大学合格のお祝いをした一人の生徒に聞いたとき、「書いてなければ忘れたときに何を使ったか調べるところからスタートしないといけなくなり時間がもったいないから」と話していました。
そのことはPoint3やPoint4にも同様のことが言えます。
ノートに使用している色の数が少ない生徒が多かったのは確かですが、中にはノートにたくさんの色を使っている生徒もいました。
一概にたくさんの色を使うことが悪いわけではなく、生徒の共通点として「もう一度同じことを調べる時間はもったいない」という意識のもと行動していることが特徴です。
ノートをきれいに書きたいという生徒の気持ちは私もよくわかりますし、それはその生徒の性格の特徴であり今後なりたい職業によってはとても大切な感覚になり得るとも思います。したがって、すべてを否定するわけではなく、今は時間を有効に使いたいのかノートをきれいに書きたいのかという目的を明確にすることも大切かもしれませんね。
Point2に代表される、正しい解答を導き出せたけれども写し間違いによるミスについては✓を付ける習慣を得ることにより解消される可能性が高いため、すぐに実践されてはいかがでしょうか。
上記の共通認識として、習い事や部活動により限られる時間を有効に使うためのノートづくりを意識すると良いかもしれません。
その理由とは?
皆さんは塾に通う理由をどのように考えられていますか?
「定期テストの対策があって安心」「普段から勉強の習慣ができれば良い」「家ではほとんど勉強をしないため勉強時間を確保してほしい」などそれぞれ異なるさまざまな理由が挙げられると思います。
どの理由も決して間違いではなく、いずれも子どもたちにとって効果的であると思います。
私が塾の講師をしていて保護者の方と面談をさせていただく際にも、おおむね上記の理由が挙げられていました。やはりとても良くお子様のことを考えられているという印象で、こちらもいつもお話の中から情熱をいただいておりました。
そのなかでも私が実際に教えていて、子どもたちの変化を間近で見たときに感じた「塾に通う理由」は他者観察ができるという点を挙げたいと思います。
自宅での学習では保護者もしくは兄弟姉妹の様子を参考にすることはできますが、そのほかになかなか参考にできる材料がありません。そのため、「どのくらいの集中力が続くのか」「同じ問題でもどのようなスピードで解いているのか」「どのような勉強の方法を活用しているのか」など、成績の比較ではなく勉強という動作の比較ができる点に有意性があると思います。
今回のテーマ、ノートについても同様のことが言えると思います。
メモを取っている様子、計算式を残している様子、いつどのようなタイミングでペンを走らせているのかを肌で感じることができます。
おすすめの教材・オンライン学習サービス紹介
上記の通り、塾に行くことができればさまざまな刺激を受けることができ、何かのきっかけで勉強方法やノートの取り方、授業の受け方まで変化する可能性があります。
ただ、小学生や中学生は大人が思っている以上に忙しく、習い事や部活動などによりなかなか塾に行くことができない方もいらっしゃると思います。そのような状態で塾に通っても続けることに必死で学びに対する意欲が向くかというと、人によるとは思いますが効果は薄れてきます。
そのような際には、まず自宅での学習の習慣をつけるということに着目し、1日1単元・1日10単語・1日1長文など具体的な目標を決めて学習を進めるのも良いと思います。その際に活用できるのがオンライン学習サービスです。
どうしても問題集にだけ向かっていると刺激や変化がなく、解き方についても我流のまま繰り返してしまう可能性があります。そのため、オンラインの映像授業を受講することができるサービスを活用するのも一つであると思います。


自ら考え、自らの学びに活かしたノートの内容にも評価を
自らの時間を学びに費やした「提出ノート」への評価は当然必要です。
ただ、「問題を解く」ことだけを評価するのではなく、自ら考え、自らの学びに活かしたノートが見られた際にはその工夫の部分にも評価のコメントをしてあげていただければと思います。
誰かに自分の努力を認めてもらうことはとても嬉しいことです。
その努力に気づいてくれる人に対して信頼が増し、その人からのアドバイスは素直に受け入れることができるというケースも良くあります。
保護者の方々はその努力を誰よりもよく見ている存在であると思います。
長い時間勉強を頑張ったこと。たくさん褒めてあげてください。
たくさんの問題を解くことができるようになったこと。たくさん褒めてあげてください。
それに加えて、自ら考え工夫した学習ができたことについてもたくさん褒めてあげてください。
また、今回ご紹介いたしました内容をご参考いただければ幸いです。