1校舎で800名を超える小中学生の生徒をお預かりしていました元塾講師です。
私自身、国立大学大学院にて教育関係の研究を行っていました。修了後、塾の講師として10年近く勤務し2,000人以上の生徒と接してきました。
今回は「成績が伸びる生徒の特長」
子どもたちはそれぞれの特徴があるのですが、その中でも「宿題」に着目してお話ししていきます。
すべての人に適した勉強方法はありません。この記事の方法が適している子もいれば、他の方が書かれている方法が適している子もいると思います。今回の内容をご覧いただき、一人でも多くの方の参考になればと思っております。
最後まで終わらせることが宿題ではない
結論から言うと、成績が伸びる生徒は「宿題」を「できない問題の発見の手段」として捉えていました。
筆箱の中には付箋が入っている生徒が多く、間違った問題や解けなかった問題にはすぐに付箋を貼り、一目でどのページのどの問題を正解することができなかったのかが分かるように工夫されていました。付箋の貼り方は問題集を閉じた状態でも付箋が見えるように貼っています。
そこから先の取り組みは以下のような流れ。
間違った問題の答え(解き方ではなく答えだけ)確認し、再度なぜその答えになるのかを考えながらやり直し。
STEP2
問題の答えと一致したあと、他の問題に取り組み時間を空けてから再度やり直し。
STEP3
再度のやり直しで正解した場合でも付箋は外さず、該当する問題番号のところに貼り付けたまま問題集から飛び出していない状態にだけする。
STEP4
試験前やテスト前は付箋が貼られている問題に再度挑戦し、正解できるか確認する。
付箋が問題集から出ていない状態になるまで何度も何度も繰り返します。
ただ、さらっと書きましたが、小中学生で上記のことができていたのはほんのわずかです。
教えていたときの感想ですが、解けない問題が多い期間が長いほどアタックできる問題数も少なくなり、結果、自分より成績の良い子と比べ同じ時間で解くことができる問題数が少なくなります。
したがって、1年でも早く解ける問題を多くすることによって必然的に質と量の確保につながります。
加えて本人の自信にもつながるため、勉強に対する意欲という意味でも良い効果が得られます。
解ける問題が増えるほどある時期を境に二次関数のグラフのように急激な成績上昇が見られることは確かです。そのため、根性論のように聞こえてしまいますが解けない問題を一つでも多く減らしていくことによって、同じ時間で解くことができる問題数を増やしていくことに注目してあげるのも良いのではないでしょうか。
能力による学力差はなく、問題が解けるようになりたいと向き合った時間の差が学力の差になることは間違いありません。
高校入試を意識した単語学習も効果的
塾に通われていないお子様にとって、「宿題」自体をどのように進めていけばよいか悩まれると思います。どの市販問題集を購入すれば良いか。どのくらいの問題量を課せば良いのかなど、判断が難しいこともあります。
現在、大学受験でも「英検」や「TOEIC」などのスコアにより入学試験時に加算得点が与えられるケースが増えています。そのため、「英検」取得を目指しながら学習の習慣、宿題をする習慣をつけることも将来を見据えた良い動きと考えることができます。
例えば旺文社の「英検ネットドリル」は比較的始めやすいネット教材となっています。
また、あまりネットを利用した学習を薦めたくない方もいらっしゃると思います。
「英検」の学習を始めるにあたり、たくさんの単語を知っていることはとても有利になります。
よく、単語帳で単語を覚えることを「長文の中でその単語の使い方を覚えたほうが良い」とおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに私もその通りであると思います。
しかし、一方。これまで生徒に向かってきた経験からすると長文を読むこと自体、あまり積極的ではないケースが多く、そこに加えて知らない単語ばかりが並んでいるとなるとペンが止まっている時間があまりにも長くなってしまいます。
小学生・中学生であれば高校入試を意識した単語をできるだけ早い時期から学んでいくことは、英語学習に対して比較的余裕をもって取り組むことができるようになる一つのきっかけにもなりやすいです。
そんなときには公立高校入試問題からピックアップした日本学術講師会の「高校入試 虎の巻」を使い、一日に覚える数を明確にしながら進めていくことも効果的であると思います。
コミュニケーションとしての「宿題」
ご家庭でも30分程度で良いので時間を計り、その時間内で解くことができた問題数が昨日よりも1問でも増えればたくさん褒めてあげることで、意欲向上につながると思います。
塾で教えているときもたくさんコミュニケーションを取った生徒は意欲的に学習に取り組んでいました。
「宿題」の仕方も人それぞれの方法があります。
性格や集中力など保護者の方が最もご理解されており、なによりお子様のことについて誰よりも一生懸命に考えられていると思います。
「宿題」をしている時間はお子様とのコミュニケーションの場としてもとても良い場であると思います。その際に今回紹介させていただきました方法を取り入れていただければ幸いです。