1校舎で800名を超える小中学生の生徒をお預かりしていました元塾講師です。
私自身、国立大学大学院にて教育関係の研究を行っていました。修了後、塾の講師として10年近く勤務し2,000人以上の生徒と接してきました。
今回は「夏休みを利用してやっておきたい勉強」
夏休みの長期休みを利用してやっておきたい勉強について、これまでの学習塾での経験や大学入試での受験者の解答などから説明していきます。
■ 確実に得点にできる内容の正答率を上げること
大学の入試課での業務の中で受験者の解答用紙を見ることがありました。
高校入試や大学入試でも入試問題作成者の意図として、「得点を取らせたい問題」と「得点差を生みたい問題」と「解くことができれば大きな差になる問題」をバランスよく配置しています。それにより平均点を50点前後で整えていきます。
上記のような問題構成の中で試験結果が良い結果にならなかった方の多くが「得点を取らせたい問題」での得点力不足が挙げられます。
例えば高校入試では比較的学力が近い方が同じ高校を受ける傾向があります。
そのため「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」は正答率に多少の差は生まれたとしても大きな差になる要素にはなりません。
ただ、後述しますがこの「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」を一つでも多く正答できる力をつけることにより安定した学力をつけることができます。
一方、合否に関する差が生まれやすいのが「得点を取らせたい問題」。
ここでの計算ミスやケアレスミスにより失った得点により合否ラインを超えるか下回るかが決まると言っても過言ではありません。
一例ですが、「得点を取らせたい問題」の配点が各教科24点分あるとします。
これにより5科目で120点の配点になります。1問の配点が2点と想定し、計算ミスやケアレスミスなどにより各教科2問ずつ誤答すると、
2問 × 2点 × 5科目 = 20点 となります。
「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」の配点が仮に5点とすると実に4問分の差が生まれることになります。
そうなれば比較的難易度の高い「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」で4問分を比較的学力が近い方が受験している試験で挽回しないといけなくなります。
実はこれが入学試験の致命傷になってしまいます。
難しい問題や解けない問題を長期休みを利用して克服しようと考える人が多いと思います。
チャレンジして、これまで解くことができなかった問題を解けるようにすることは素晴らしいことです。
しかし、それよりも大事なことは『解ける問題は絶対に間違えないこと』
もう一度、基本問題レベルのものを解き直し、計算ミスやケアレスミスをしないためのトレーニングや工夫を考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。
■ 「得点を取らせたい問題」の解答スピードを上げるトレーニング
上記で「得点を取らせたい問題」について説明しましたが、やはり「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」も解けるようにしたいというのが本音と思います。
トレーニングを繰り返し、解くことができる問題が増えるようになると自信にもつながりますね。
解けるようになったにも関わらず夏休み明けのテストでは得点が思うように伸びなかったというお話を聞いたことがありますか?学力は向上しているものの、得点になかなか反映されないと学習者本人のモチベーションも下がってしまいます。
この状況において問題となるのが「得点を取らせたい問題」に掛けている時間が長すぎないかということ。
自宅学習では「得点差を生みたい問題」や「解くことができれば大きな差になる問題」を単問題として一つずつ解けるようにしていると思います。そのため『どれだけ時間を使っても良い』という学習状況を作っている可能性があります。
そのため、いざテストとなったときに“落ち着いて”解答するだけの時間の余裕がない可能性があります。
上記を解消するには2つしかありません。
① 「得点を取らせたい問題」の解答スピードを上げる
② 家庭学習で1問あたり2分程度の制限時間を設けて学習する習慣をつける
部活動やテレビゲームでも同じですが、試合や対戦相手を意識した練習をすることによりより高いレベルの技術を得ることができます。それは勉強も同じ。
「この問題が試験で出たと想定した時間配分でやってみよう」と考えて勉強することは意識していなければ不可能です。
この記事を読まれて確かに普段、時間を意識して勉強していないと思われた方がいらっしゃれば、今日からでも遅くありませんので少し時間を意識した学習に切り替えてみてはいかがでしょうか。
この夏、志望校に向けて頑張る皆さんはとても素敵です!
皆さんの勉強のスタイルに今回の記事の内容を少し加えていただければ幸いです。
今までの経験でも、塾が必要になる時期は人それぞれです。
そのなかで私が感じていたのは「手遅れになる前に行動」をしてほしいということです。
塾は高いと言われることが多いですが、ぎりぎりの段階で学力が志望校に足りないからあわてて塾に来ましたというほうが瞬間的な費用はかなり大きくなりますし、けれども期間が短すぎて良い結果を得られるかわからないということもあります。
もし行くとなればどの塾に行こうかということを日頃から検討しておけば、いざというときに焦らずに考えることもできます。
その一歩としては資料請求から始めることです。